お父さんとお母さん,そして7人の子どもたちの9人家族。
小学校に通っている5人は今年度よりアナコット里親会の就学支援を受けている。
16才の長女は6年生,そして9才~11才になる妹弟たち4人はみんな2年生。
この家族は,住むところがなく,あちこちを転々として昨年この地域に引っ越してきた。
人の住んでない家をお父さんが修理して暮らしている。
が,ここもいつ立ち退きを命じられるかわからない。
家の裏の空き地にお父さんが掘った穴から水を汲んで生活しているが…
深さは3mほどもあり,とても危険な状態。現在アナコットで支援を検討中。勉強が大好きな長女は,11才になってようやく小学校に入学させてもらったらしい。
下の妹弟たちは長女に家で読み書きを習ったことがある程度。
日本人の私よりクメール語を知らない。
両親を説得し,昨年度後期から,ようやくみんな1年生に入学することができた。

お父さんは自宅で壊れた電化製品の修理をして,わずかな現金収入を得ている。
身体の弱いお母さんは,読み書きが全くできないこともあり仕事に就くことができない。
子どもたちと一緒にペットボトルを集めに行ったり,
屋台が並ぶ通りで残飯を集めに行ったりしている。
このペットボトル集めの仕事。
深夜に子どもたちが出かけていると情報が入ったこともある。
朝7時からの授業は眠くて勉強にならない。
「学校には来るが午前は殆ど眠っている」と担任からの報告。
長女に話を聞く。
「お母さんに行きなさいって言われて,妹弟を連れて毎晩行っている」
「夜8時から行って,家に帰るのは12時過ぎ」
一晩歩き回って米袋いっぱい,
それで大体2.5ドルの現金が稼げる。
両親と話し合い,それ以降,深夜に子どもたちに仕事をさせることはなくなった。
が,『収入がない』 = 『その日食べるものがない』 という,
根本的な問題が解決されなければ,きっとまた同じようなことが起こるだろう。
先日ライター作りの内職の仕事を紹介した。
現在は家族みんなでライター作りをしている。
――――――――――――――――――――――――6才で小学校に入学するという決まりは,国民にはまだまだ浸透していない。
学校へ行くというのは非生産的なこと。
読み書きができなくても食べていける。
というのは,親たちは身をもって体感している事実。
学校へ行くよりも,仕事をしたり家事をしていた方がよっぽど意味がある。
そんなふうに考えている人が多い。
ポル・ポトは,徹底的に人間の権利を破壊したようだ。
保護者たちが学校へ通っていなかった世代。
就学支援を受けている子どもの保護者の識字率は10%以下である。
「うちはお金がないんだから学校には行かなくていい」
「まぁ,もう少し大きくなったら学校に行かせることも考えよう」
そんなふうに言う親たちは少なくない。
家庭訪問を通して,少しでも学校教育の重要性を伝えていきたい。
そして,子どもたちの未来を,みんなで一緒に考えていきたい。
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家計の貧しさや子どもたちの状況を聞き、衝撃を受けました。
そして小さな音楽隊の歌と演奏を聞き、本当に感動しました。
そして元気をもらえました。
これからもたくさん歌を歌って、演奏して元気でいてほしいです。
オークン