3 Jan. 2009 (Sat.)

マーリッの引越し。
とりあえずの引き取り先を確保した。
昼休み,これまで住んでいた家に向かう。

母親が田舎から出てきた。
ずっとずっと山奥から。
まだ4ヶ月の赤ちゃんを抱えて。
トラックの荷台。
でこぼこ道を揺られて4時間。
母親の腕も,マーリッとおんなじ。
骨と皮しかない。


「お母さんはマーリッを学校に通わせたいですか?」
「4月頃に私が再びここに戻ってきたら,マーリッと私が一緒に暮らすことを許してくれまか?」
「私が戻ってくるまでの3ヶ月間,マーリッの友達の家にマーリッを預けてもいいですか?」

会話にならない。
全てに 「はい」 と,一言で答える。
「どうしたいですか?」「どう思いますか?」
という質問も,答えは 「はい…」 だ。
「うちは貧乏ですから…」と,心配そうに付け加えた。

そして,ニコニコ笑顔で言う。
「この子をネアックルーにあげてもいいんですけど…」

慌ててマーリッに目をやる。
妹をあやしてるその表情は変わらなかった。
間違いなく聞こえてる。


「この家でマーリッは,とてもつらい目にあってきました。
私はすぐにここを出た方がいいと思うんです。
なので,今から引越しします。
私はお金持ちじゃないので,マーリッに贅沢はさせられませんが…
でも小学校を出るまでは彼女の生活の面倒を見させてください。」

音楽隊のライヒアンの家にマーリッを預ける。
ライヒアンの親戚というその女性は,とても温かい笑顔で迎えてくれた。

でも…追い出され,再び他人に預けられる彼女。
マーリッをおいて日本に帰る私。
心臓のところらへんが猛烈にずきずきする。

勇気を出してマーリッの顔を見た。

彼女の瞳は希望に輝いている。

マーリッは私を信じているんだ。


だめだ。
心のキャパを超えた。

寝ても覚めても,胸いっぱいに広がってるこの痛みは何なのか。

『子どもをあげる』
この言葉が許せない。

許せないけど。
誰を許せないのか。

ロアッタナーの叔母も。
バランのおばあちゃんも。

生活が苦しい。
だから子どもを手放す。
言葉で言い表せられるような。
そんな簡単なことではないはずだ。

だけど。
考えても考えてもわからない。

わからないことばかりだ。


新しい家での最初の夜。
マーリッはどんな思いでいるんだろう。
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[ 2010/07/09 20:48 ] 日記 2009 | TB(0) | CM(0)
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