家庭訪問記録より ~ 2012年 その4 ~


お父さんとお母さん,そして7人の子どもたちの9人家族。
小学校に通っている5人は今年度よりアナコット里親会の就学支援を受けている。
16才の長女は6年生,そして9才~11才になる妹弟たち4人はみんな2年生。

この家族は,住むところがなく,あちこちを転々として昨年この地域に引っ越してきた。
人の住んでない家をお父さんが修理して暮らしている。
が,ここもいつ立ち退きを命じられるかわからない。

井戸_5 井戸_1 井戸_3 P1010004.jpg
家の裏の空き地にお父さんが掘った穴から水を汲んで生活しているが…
深さは3mほどもあり,とても危険な状態。現在アナコットで支援を検討中。



勉強が大好きな長女は,11才になってようやく小学校に入学させてもらったらしい。
下の妹弟たちは長女に家で読み書きを習ったことがある程度。
日本人の私よりクメール語を知らない。
両親を説得し,昨年度後期から,ようやくみんな1年生に入学することができた。

TO (30) TO (16)2 TO (10) 
TO (42) P1010747.jpg P1010795.jpg


お父さんは自宅で壊れた電化製品の修理をして,わずかな現金収入を得ている。
身体の弱いお母さんは,読み書きが全くできないこともあり仕事に就くことができない。
子どもたちと一緒にペットボトルを集めに行ったり,
屋台が並ぶ通りで残飯を集めに行ったりしている。

このペットボトル集めの仕事。
深夜に子どもたちが出かけていると情報が入ったこともある。
朝7時からの授業は眠くて勉強にならない。
「学校には来るが午前は殆ど眠っている」と担任からの報告。

長女に話を聞く。
「お母さんに行きなさいって言われて,妹弟を連れて毎晩行っている」
「夜8時から行って,家に帰るのは12時過ぎ」
一晩歩き回って米袋いっぱい,
それで大体2.5ドルの現金が稼げる。

両親と話し合い,それ以降,深夜に子どもたちに仕事をさせることはなくなった。
が,『収入がない』 = 『その日食べるものがない』 という,
根本的な問題が解決されなければ,きっとまた同じようなことが起こるだろう。

先日ライター作りの内職の仕事を紹介した。
現在は家族みんなでライター作りをしている。

P1010029_2.jpg P1010058.jpg P1010032.jpg みんなで  


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6才で小学校に入学するという決まりは,国民にはまだまだ浸透していない。
学校へ行くというのは非生産的なこと。
読み書きができなくても食べていける。
というのは,親たちは身をもって体感している事実。
学校へ行くよりも,仕事をしたり家事をしていた方がよっぽど意味がある。
そんなふうに考えている人が多い。
ポル・ポトは,徹底的に人間の権利を破壊したようだ。

保護者たちが学校へ通っていなかった世代。
就学支援を受けている子どもの保護者の識字率は10%以下である。

「うちはお金がないんだから学校には行かなくていい」
「まぁ,もう少し大きくなったら学校に行かせることも考えよう」
そんなふうに言う親たちは少なくない。

家庭訪問を通して,少しでも学校教育の重要性を伝えていきたい。
そして,子どもたちの未来を,みんなで一緒に考えていきたい。


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[ 2012/11/22 01:49 ] 里子家庭訪問記録 | TB(0) | CM(7)

家庭訪問記録より ~ 2012年 その3 ~


13才6年生のお姉ちゃんと,9才2年生の弟。
2人とも将来の夢はお医者さん。
炎天下,約2キロの超悪路を越え,毎日休まず登校している。
仲良く歩くその足に,靴はない。

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お父さんは46才,陽気でとっても素敵な笑顔をもっている。
が,ポル・ポト時代の内戦の際に大きなけがを負い,
その後遺症で仕事に就くことはできない。
少年時代に受けた脇腹の銃の後が痛々しい。
「ネアックルー,俺のお腹を見たらびっくりするぞ。」
そう笑いながら見せてくれたお腹は…
銃の球を取り除く手術が失敗したらしく
「お腹の中で腸が落っこちてしまってる」ということだ。

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お母さんは41才,カンボジアのNGOから借りているミシンで
鞄の仕立てをしてわずかな現金収入を得ている。
が,家族4人の食費には全く足りていない。
食事は大体一日1回,多くても2回,少量のご飯に塩をかけて食べることが多い。
近くに生えている草を茹でたり,子どもたちが虫を取ってきて皆で分け合っている。

ある時,お米を届けに行った際,
大喜びで駆け寄ってくるみんなの中にお父さんの姿がない。
いつもはとびっきりの笑顔で迎えてくれるのだが…。
中をのぞくと,お父さんがハンモックでぐったりしている。
「この間から熱が下がらないの。」と心配そうに話すお母さん。
デングか?マラリアか?と思ったら……お父さんの足!!
ふくらはぎがとんでもないことに。
「この間怪我をして…そしたら全然なおらないのよ。」
よく見てみても…何が何だか分からない。
ぐちゃぐちゃに化膿して恐ろしい色になっている。

「すぐ病院だ。」
その声にお父さんが反応した。
「嫌だ!」
「え??」
「注射をするんだろう?」

でた。
注射嫌い。
田舎に行けばいくほど注射嫌いの人が多い。
殆ど病院に行ったことがないからだと思うのだが…
大の大人が本気で注射を怖がる。
これは子どもより厄介だ。
絶対に嫌だと言い張って,説得するのに1時間以上かかったこともある。

ここのお父さんは15分ほど粘ったが。
「足を切り落とすのと注射とどっちがいいの!」
この一言で勝負がついた。

お父さんを車に乗せドアを閉めようとしたとき,息子が飛び込んできた。
目に涙を溜めてお父さんの腕にしがみついている。
「心配なの?一緒に行こうか?」と聞いたら,
何も答えずこっくりと頷いた。

バックミラーには深刻な顔をした親子の姿が写っている。
心配なのは足の怪我ではない。
とにかく注射が恐ろしいらしい。
2人には申し訳ないが,私は笑いをこらえるのに必死。

病院では注射を打つ時にひと悶着あったが,
足の方は問題なかった。
抗生剤の注射を打ち,薬を出してもらい,後は消毒のために通院するだけ。

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帰りの車は行く時とは全く別人のように陽気な2人だった。
生まれて初めての車。
家に着いてからは 「車に乗った」 という自慢話で興奮状態。
近所の子どもたちが集まってきた。
「通院のときはぼくも行く!」
「わたしも心配だから一緒に行く!」
と盛り上がっている。

バイクで迎えに来たらみんな怒るかな。

とりあえず,お父さんに笑顔が戻って一安心。

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 みなさまへお願いです 
 
支援者が足りていなかった9名の子どものうち,
6名分の里親の申し込みをいただきました。
あたたかな応援,心より感謝申し上げます。

現在,あと3名分の子どもの里親が必要です。
何卒ご協力をお願い申し上げます。
就学支援の詳細につきましては 『アナコット里親会』 のページをご参照ください。


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[ 2012/11/09 07:12 ] 里子家庭訪問記録 | TB(0) | CM(0)

家庭訪問記録より ~ 2012年 その2 ~


年老いたおばあちゃんと2人で暮らしている少女の家を訪ねる。
崩れそうな家の前にぽつんと座っていた少女は10才。

前回の家庭訪問で,おばあちゃんから家庭状況については聞いていた。

一年半ほど前にHIVにより両親を亡くした。
少女も母子感染しており,市内の小児病院から無料で援助を受けている。
年をとっているから生活はとても苦しいが,
身寄りのない孫がかわいそうで引き取った。との話だった。

この日,おばあちゃんの姿は見当たらなかった。
「おばあちゃんは?」少女に聞く。
「いないよ。」
「どこ行ったの?」
「お家。」
「え?お家ってここでしょ?」
「私のお家はここ,おばあちゃんのお家はあっち。」
そういって遠くを指差した。

話をよく聞くと,おばあちゃんは別の家に住んでおり,
両親が残してくれたこの家には,いつも一人でいるのだという。
おばあちゃんは時々少女の様子を見に来るだけ。

おばあちゃんの話と全然違う。

少女に頼んでおばあちゃんの家に連れて行ってもらった。

コンクリートの割としっかりした家。
罰悪そうに苦笑いをしておばあちゃんが出てきた。
「HIVがうつると怖いからね。でもちゃんとご飯は食べさせてるよ。」

孫への愛情は?
両親を失った孫への憐みは?
納得いかないことばかりだったが,責めてもしょうがない。

1時間,おばあちゃんのとりとめのない言い訳のような話を聞き,
HIVの感染経路など,日常生活で感染する危険は殆どないことを説明した。
小児病院の方からも指導を受けているだろうに…
「知らなかった~」なんて言う。

とりあえず,少女はおばあちゃんと一緒に暮らしはじめた。
昨年度は学校を休みがちだったが,新年度に入ってからは欠席がない。
学校でもとびっきりの可愛らしい笑顔がたくさん見られるようになった。

また少女が一人ぼっちで暮らすようなことにならないよう,
現地の先生方と交代で最低週一回はおばあちゃんの家を訪問している。

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 みなさまへお願いです 
 
支援者が足りていなかった9名の子どものうち,
4名分の里親の申し込みをいただきました。
あたたかな応援,心より感謝申し上げます。

現在,あと5名分の子どもの里親が必要です。
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就学支援の詳細につきましては 『アナコット里親会』 のページをご参照ください。


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[ 2012/11/09 02:11 ] 里子家庭訪問記録 | TB(0) | CM(2)

家庭訪問記録より ~ 2012年 その1 ~


トロー・オンドーン小学校。
12才の少女が全く学校に来ていないとの報告を受け,家庭訪問に。

両親,祖父,6人の子どもたち,計9人家族。
家はなく,遠縁の親戚の家の軒下で暮らしている。

P1010119.jpg  P1010020.jpg  P1010045.jpg 


家の裏にあった井戸は壊れて使えなくなってから数年経っていた。
遠くの井戸まで水を汲みに行くことは稀で,
近くの小さなため池の水が生活用水となっている。
乾季は水浴びをすることも少なく,肌がひどい状態になっていた。

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  (壊れた井戸)    (子どもの肌がこんな状態に…)

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(アナコットで,壊れた井戸の部品を使い新しい井戸を設置しました)



お母さんは野原に生えている食べられる草や野菜などを探し,
市場に持って行って販売する。

子どもたちも,母の仕事の手伝いや自分たちの分の食糧採取で忙しい。

お父さんは日雇い労働で殆ど収入なし。
さらに…日々知人たちに誘われてお酒を飲み,アルコール依存症。
先日,よろけて火を焚いているところに転がり,
身体に熱湯を浴びて大やけどをしてしまった。
別の日雇いの仕事を見つけてきてあげたが,これでは仕事ができない。

12才の少女5年生,将来の夢は仕立屋さんになること。
8才の少年2年生,将来の夢はバイクタクシーの運転手になること。
今年度からこの2人の就学支援が開始された。
里親会から支給された教科書や制服,文房具,
生まれて初めてもらった新品の自転車に目を輝かせ,
毎日元気いっぱい登校している。

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家庭訪問はもともと,子どもたちの実態把握のためにと始めたことだったが,
今は保護者への指導をすることがメインとなっている。

家族を養う責任感をもつこと。
仕事をするように促すこと。
家庭での教育(しつけ)を行うこと。
子どもを学校に通わせること。
愛情をもって子どもたちを育てること。…等々。

健康状態,衛生状態,栄養状態,経済状態,児童虐待。
家庭訪問に行けば必ずと言っていいほど何か問題が起こっている。

カンボジアの人たちが少しでも自分たちの力で改善していけるよう
これからもできる限りの応援をしていきたい。

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 みなさまへお願いです 
 
現在,あと8名分の子どもの里親が必要です。
どうかご協力お願い致します。
詳しくは 『アナコット里親会』 のページをご参照ください。

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[ 2012/11/08 21:32 ] 里子家庭訪問記録 | TB(0) | CM(0)

家庭訪問記録より ~by アナコットスタッフ~


今回からはアナコットスタッフが書いたアナコットの活動で起きた
いろいろな記事も加えて更新していきたいと思います。

さて、今回は児童の家庭訪問について…

ちぃ先生は毎月、児童たちの家庭訪問を何軒も行います。

家庭訪問の目的の1つは、子どもの家庭の問題を把握して改善するため。

何日もまともに食べることができていない、家族が病気になっている、
家を追い出されそう、父親が母親や子どもに暴力を振るっている…などなど。
子どもの様子がおかしかったり、何か情報が入ると、すぐさま家に向かいます。

もう一つの目的は、就学支援が必要かどうか、家庭の状況を良く知るためです。

シェムリアップの中心地から少し離れたところ。
デコボコ道を進んだところにあるお家。

ヤシの葉と木できた家は一部屋だけど、比較的しっかりした感じ。
家の中はとてもきれいにされている。というか、物がほとんどない。

家庭訪問_1 家庭訪問_2 
  
 カンボジア特有の高床式住宅
 竹や廃材,椰子の葉,拾ってきたトタンなどで作られています

この家には小学校に通う男の子がいます。
学校の先生から「支援が必要だと思う」と聞いたので、お母さんと子どもたちと話して、
どんな状況か詳しく調べます。

いろんな質問をしてこれまでの状況や今大変なことを聞いていくのは、
アナコットの一員のシヴォン先生とルォム先生。
ゆっくりとした話し方をするシヴォン先生の問いかけに、
お母さんは少しづつ大変な状況を話してくれました。

「10年前に旦那が死んで…」
「今日はごはんを食べてない。昨日はご飯に醤油をかけて食べました。」

家庭訪問_3

お母さんは聞いたことにちゃんと答えてくれますが、
それだけでは見落としているところがきっといっぱいある。
ちぃ先生は先生たちがお母さんと話している間に、
子どもと楽しい話をしながらいろいろと普段の状況を聞いていきます。

「このビーズ、作ったの?」
「うん、これでネックレスを作ったら、お店の人が買い取ってくれるの。
 でも最近は買ってくれないんだ。」

家庭訪問_4

そして、家の中の様子もよく見て、そこから何か気づくことはないか見ていきます。
お米もほかの食糧も見当たらない。

家庭訪問_5 ←調理場にあったのはかぴかぴになった調味料のみ


そして何かの薬が大量にある…。
もしかしたら…と思って聞いてみると、やはりエイズの薬。
お母さんは今の旦那からエイズをもらったらしい。

そこから、お父さんは何をしているかという話に。

「お父さんは今仕事してるの?」
「よくわからないけど、いつも家にいないの。」
「お金は家に入れてくれる?」
「いいえ…、あの人も病気になって辛いからしかたないのよ。」

いつもお酒でも飲んでるんじゃ…
ちぃ先生は、お父さんも呼んで話を聞きたいとお母さんに言いました。

数分後、お父さん登場。
顔も赤く、目も充血してる。
「お酒飲んでるの?」と聞いても「飲んでない」の一点張り。
でも近くに寄ると、酒臭く、しらふを装おうとしている体は静止がきいていない。

訪ねる家庭それぞれにいろんな問題を抱えていて、
それは彼らがすき好んで生んだ状況ではありません。
親たちは抜け出そうとしてきたけど失敗したのかもしれない。
もしかしたら抜け出し方がわからなくてもうあきらめたのかもしれない。
もうどうにもなりっこないと希望を持っていないのかもしれない。

難しい状況だけど、子どもがいるならばこの子のためにできることをしていこうよと、
ちぃ先生はお父さんに厳しく話していきます。

家庭訪問_6

支援をするとき、そこになくてはならない一番大事なことは、
支援を受ける人たちが状況を変えたいという気持ちと
変えようとをする覚悟をもっていること。
子どもの就学支援をする時は、保護者もその気持ちと覚悟をもって
子どもの学習を一緒に支えていくことが求められます。

そして、これが一番難しいところ。
支援を始めてしばらくすると、子どもも親も気が抜けていくことがしばしば。
そんな時はまたちぃ先生が家庭訪問をして、ビシッと指導をしていきます。


7月、カンボジアでは手足口病が広まっていることが判明しました。
感染の拡大を防ぐため、7月下旬からカンボジア全土の小学校が閉鎖され、
10月の新年度スタートまで、子どもたちはいつもより長い夏休みを過ごしています。
就学支援を受けている子どもたちは、ちぃ先生からしっかり宿題をもらったので、
今必死に取り組んでいることでしょう。


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[ 2012/08/09 03:29 ] 里子家庭訪問記録 | TB(0) | CM(1)